フレンチワークウェア モールスキンジャケットを徹底解析
フレンチワークウェア モールスキンジャケット
古着ブームが再到来して、ある程度の時間は流れたように感じますが、まだまだ熱は冷めないようです。
特にアメリカ古着は、日に日に価格が高騰しているイメージですが、トランプ大統領の関税対策で、まだまだ上がるかも。。。
そんな古着ブームの中、人気が上がっているのがユーロヴィンテージです。
そもそも、ユーロヴィンテージとはなんぞや?
1845年以降、ヨーロッパ圏で生産されたワークウェアやミリタリーウェアなどの総称です。大量生産されていたアメリカ古着とは違って、絶対量が少ないことが近年どんどん価値が上げています。
ヨーロッパ古着とはいえ、色々な国があるのですが、その中でも人気の高いのがフランス。
フレンチミリタリーの名作「M-47カーゴパンツ」をマルタンマルジェラがフランスの縫製技術の高さを証明するため裏返してランウェイしたのは、アパレル業界では有名な話です。
そのフレンチミリタリーと同じくらい人気なのが、フレンチワークウェアです。いわゆる、フランスの働く人の服ですね。
今回はフレンチワークウェアの中でも注目の高い、「モールスキンジャケット」を紹介させていただきます。
それでは
1940-50’s ADOLPH LAFONT モールスキンジャケット
美しいインクブルーが目をひくモールスキンジャケットです。
主に鉱山で働く炭鉱夫が着用していました。
生地は、過酷な作業にも耐えれるモールスキンという素材が採用されていました。横朱子織(よこしゅすおり)という技法で、細い糸を高密に織ることで、丈夫でしなやかな風合いとなり、シルクの様な光沢を帯びます。
モールスキンの由来は、地下に潜って作業する姿から「mole(モグラ)」の「skin(肌)」と名付けられました。
生地以外にも、大き目の首回りと丸みのある襟もモールスキンジャケットの特徴です。
カバーオールならではの大きいパッチポケットは、上部に当て布することで、強度を増しています。この当て布も水平ラインとVラインがあって、ディテールの違いで年代も違うんです。
ちなみにこれがVラインのパッチポケット。
内側にもポケットが付いています。
そしてボタンの素材にもご注目ください。
アメリカのワークウェアはメタルボタンが多く使われるのに対して、モールスキンジャケットは樹脂製ボタンが使われています。
理由は火を扱う炭鉱作業だったので、ボタンが熱くなりにく樹脂や骨・木が使われていました。
サウナに入っていたら、ロッカーの鍵が肌にあたって、あつっ!!!ってなるのと同じですねwww
さきほどとは打って変わって、色落ち・ペンキ汚れなど着古すことで生まれる、かなりフェードの効いた1着です。
年代は先ほどのジャケットと変わりませんが、ヴィンテージデニムとは一味違う経年変化に惹かれてしまいます。
1950年代に入るとコットンツイルやヘリンボンツイルなどの生地が台頭したことに加えて、第二次世界大戦が勃発することで、手間のかかるモールスキンは徐々に姿を消してしまいます。
1950-60’s ADOLPH LAFONT ブラックモールスキンジャケット
これまでのモールスキンジャケットは、フランスのナショナルカラーを象徴するブルーでしたが、これは真逆のブラック。
油などで汚れが目立たないカラーとしてピンポイントで作られていたのではないかとされていて、極端に生産数が少ないです。
そういわれると、欲しくなるのが人間の性なのか、物量と需要が合わず価格がどんどん高騰している1着です。
1930-40’s フレンチワークモールスキンジャケット メタルボタン
そしてそして、最後の1着は番外編ではないのですが、非常に珍しいジャケットです。
すでに紹介した3着より年代も古いのですが、注目していただきたいのはボタン。
前文で炭鉱作業だった為、樹脂ボタンが使われていたと言いましたが、このジャケットはメタルボタンなのです。
すべてのワークウェアに樹脂ボタンが使われていたのではないですが、お目にかかれるのはかなりレア。
襟の先端が縫い止められていることから、恐らく高所作業員用のジャケットだったと思われます。
と、YOKOHAMA JUNCTIONで取り扱っているモールスキンジャケットだけでもこれだけ語れるユーロヴィンテージの魅力に、どんどん引き込まれている今日この頃です。
それでは、また。
YOKOHAMA JUNCTION 河合