これを知らずしてフレンチワークは語れない!フランス産まれの”あいつ”

記録的猛暑が続く日本列島。

冬が過ぎて、ようやく春らしくなってきたな~と思ったら、一気に気温が上昇。暦では秋なのに、なかなか下がらない気温にヘトヘトになってきました。

いったい、秋はどこにいったのやら。。。

そんな異常な気温と同じくらい熱が冷めないのが古着ブームです。

続々と新店舗がオープンし、新品商品と古着をミックスして販売するセレクトショップの数も増えました。

それに伴って価格も上昇気流。

少し前なら頑張れば手に入ったバンドTシャツも手が出せない価格に。

古着好きとして人気が出るのは、すごく嬉しいですが、価格はもう少し下降してほしいのが本音ですね(笑)

そんな古着ブームのなか、いま人気急上昇なのがユーロヴィンテージです。

ユーロヴィンテージとは?

ユーロヴィンテージとは1845年以降、ヨーロッパ圏で生産されたワークウェアやミリタリーウェアなどの総称です。大きな工場で大量生産されていたアメリカ古着とは違って、小さな工場や町の仕立て屋さんで生産されていたユーロヴィンテージは、絶対量が少なく希少性が高いため人気があがっているのです。

ヨーロッパ圏は多数の国が存在します。

ミリタリーやワークウェアは各国の特徴があり、国別でファンもいますが、その中でも”フランス”はファンが多い。

M-47カーゴパンツ 前期

フレンチミリタリーの代名詞とされている「M-47カーゴパンツ」

メゾンブランドの巨匠”マルタンマルジェラ”がフランスの縫製技術の高さを証明するためM-47カーゴパンツを裏返してランウェイしたのは、ファッション業界では有名な話なんです。

それ以外にも、”M-57チノパンツ”や”M-64カーゴパンツ”など多くの人気アイテムがフレンチミリタリーにはあります。

そのフレンチミリタリーと同じくらい人気なのが、フレンチワークウェア。

いわゆる、フランスの働く人の服ですね。

今回はフレンチワークウェアの中でも特に注目の熱い、「モールスキンジャケット」を紹介させていただきます。


1940-50’s ADOLPH LAFONT モールスキンジャケット 

1940年~50年代に生産された”ADOLPH LAFONT(アドルフラフォン)”という老舗ワークウェアメーカーのモールスキンジャケットです。

美しいインクブルーが目をひく、凄くグッドコンディションなモールスキンジャケットです。

モールスキンジャケットは、主に鉱山で働く炭鉱夫が着用していました。

モールスキンは、横朱子織(よこしゅすおり)という技法で、細い糸を高密に織ることで、しなやかな風合いとなり、シルクの様な光沢を帯びます。

過酷な作業にも耐えられる耐久性の高いのも特徴です。

モールスキンの由来は、地下に潜って作業する姿から「mole(モグラ)」の「skin(肌)」と名付けられました。

大き目の首回りと丸みのある襟もモールスキンジャケットの特徴。

カバーオールならではの大きめのパッチポケットは、上部に当て布することで、強度を増しています。

この当て布も水平ラインとVラインがあって、ディテールの違いで年代も違うんです。

ちなみにこれがVラインのパッチポケット。

内側にもポケットが付いています。

アメリカのワークウェアはメタルボタンが多く使われるのに対して、フランスのモールスキンジャケットは樹脂製ボタンが使われています。

理由は火を扱う炭鉱作業だったので、ボタンが熱くなりにくい樹脂や骨・木が使われていました。


1940-50’s フレンチワークモールスキンジャケット

さきほどのモールスキンとは打って変わって、色落ち・ペンキ汚れなど、かなりフェードの効いた1着です。

1950年代に入るとコットンツイルやヘリンボンツイルなどの生地が台頭したことに加えて、第二次世界大戦が勃発することで、手間のかかるモールスキンは徐々に姿を消してしまいます。

リーバイスの大戦モデルは、資材不足からボタンがドーナツボタンが使われていたり、アーキュエットステッチがペンキになっている話は有名ですが、フランスでもその影響は多大に受けているんですね。


1950-60’s  ブラックモールスキンジャケット

これまでのモールスキンジャケットは、フランスのナショナルカラーを象徴するブルーでしたが、これは真逆のブラック。

油などで汚れが目立たないカラーとしてピンポイントで作られていたのではないかとされていて、極端に生産数が少ないブラックモールスキン。

そういわれると、欲しくなるのが人間の性なのか、物量と需要が合わず価格がどんどん高騰している1着です。


1930-40’s フレンチワークモールスキンジャケット メタルボタン

そしてそして、最後の1着は非常に珍しいジャケットです。

すでに紹介した3着より年代も古いのですが、注目していただきたいのはボタン。

前文で炭鉱作業だった為、樹脂ボタンが使われていたと言いましたが、このジャケットはメタルボタンなのです。

お目にかかれるのはかなりレア。

襟の先端が縫い止められていることから、恐らく高所作業員用のジャケットだったと思われます。

と、YOKOHAMA JUNCTIONで取り扱っているモールスキンジャケットだけでもこれだけ語れるユーロヴィンテージの魅力に、どんどん引き込まれている今日この頃です。

それでは、また。

YOKOHAMA JUNCTION 河合